【週刊東洋経済】「コロナ倒産 最終局面」について

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公開日:2021年3月10日 /最終更新日:2024年7月24日

3月8日に発売された週刊東洋経済のコロナ倒産関連特集の印象がかなり強烈でしたので、今回、個別にこの特集について取り上げてみたいと思います。

目次を引用すると、

第1特集
コロナ倒産 最終局面
資金不足企業が続出! 急増必至のコロナ倒産

Part1 危ない企業のカウントダウン
吹き飛んだインバウンド需要と上場の夢 負債額最大のコロナ破綻
[ホテル・観光]名門が相次いで資産売却 Go Toでも救えぬ惨状
[外食] 債務超過企業が続出 「悪魔の増資」に走る居酒屋
[アパレル]「レナウンの次」はどこだ? テレワーク普及で窮地
消えない「三越銀座店売却」 百貨店を襲う閉店ラッシュ
[エアライン] 繰延税金資産取り崩しの最悪シナリオ ANAが抱える2つの時限爆弾
社債が紙くずに、地銀も被害 ユニゾ倒産のカウントダウン
緊急事態宣言ショック 揺らぐ銀座の灯
あえて銀座に出店する人々
人員削減に事業、不動産も相次ぎ売却 吹きすさぶリストラの嵐

Part2 危ない企業の見抜き方
金融のプロが伝授する4カ条 倒産予備軍を見破れ
融資増の裏で膨らむリスク 「不良債権爆弾」を恐れる銀行
危険水域企業はここだ! 倒産危険度ランキング504社
継続性にイエローカード 疑義注記&重要事象会社一覧

と、ホテル・観光、外食、アパレル、エアラインという業種に対し大きな影響が及び、それ以外にも影響が及んでいることがわかると思います。
特に外食産業は自己資本比率が数十ポイント落ちている企業がざらにあり、債務超過ないしは低水準の自己資本となっている上場企業が多数出てきています。
元々店舗を借りて営業を行うスタイルが中心ですから(資本効率を高めるという点で、その戦略は平時は正しいと思います)、今回のように長期間の売り上げ減が生じている場合、融資では担保を入れることも難しいのではないでしょうか。
外食業界をワクチンが普及して感染が抑止されると楽観的に考えたとしても、ワクチンが普及するのは現在のペースだと年内にできるかどうかでしょうか。今からみても半年以上期間が残り、そこから自己資本が少なくなっているため、既存の店舗のみで売り上げを回復させていくことを考えると、かなり厳しいと言えるのではないでしょうか。
そうするとエクイティを調達して拡大を図っていくことが必要になってくると考えられますが、市場で調達するのは希薄化の問題や不透明性などからなかなか難しいかもしれません。
ではどうするかというと関係の強い企業(群)から資本調達を行い、それを原資として店舗やメニューやサービスをよりテイクアウトを意識したものに変えていく必要があるでしょう。
逆にいうとコロナが落ち着くまで生き残りを図る体力があり、大手資本との連携が取れ資本調達ができる企業は、コロナのめどがついたタイミングでスタートダッシュが切りやすいとも言えます。

*反対にスタートダッシュを切るまでに運転資金が尽きてしまうと倒産・破綻することになります。その前にできることを考えるにはこちらの企業再生に関する各ページをご覧ください。

企業再生スキームとM&A
債務超過企業と企業再生(準則型私的整理編)
【事業再生】特定調停スキームとは
【事業再生】事業再生ADR制度について
地域経済活性化支援機構とは

もちろん外食産業に限らずホテル・観光も同様でしょう。
ただしテレワークの普及に伴ってビジネス需要が高くて、コモディティ化した外食産業やビジネスホテルなどの需要はコロナ前に回復することは難しいかもしれません。
総需要自体が低下することから、いかに差別化を図れるのかというところが重要になってくると考えます。
ここで飲食店の倒産動向調査が帝国データバンクから出ていたので内容を見てみると、

飲食店の倒産動向調査(2020年)

飲食店倒産は780件で過去最多
~ 業態別では「酒場・ビヤホール」が最多 ~

はじめに

帝国データバンクでは、2020年(1月~12月)の飲食店事業者の倒産(※)動向について集計・分析した。

※飲食事業を主業とする事業者(法人・個人事業者)で、法的整理かつ負債1000 万円以上を対象としている

調査結果

  • 1 2020年における飲食店事業者の倒産は780件発生し、過去最多の水準となった
  • 2 業態別で見ると、「酒場・ビヤホール」が189件(構成比24.2%)で最多。次いで、「中華・東洋料理店」(105件、構成比13.5%)、「西洋料理店」(100件、同12.8%)、「日本料理店」(79件、同10.1%)が続く
  • 3 負債規模別で見ると、「5000万円未満」が620件(構成比79.5%)で最多。一方、負債50億円以上の倒産は2013年以降8年連続で発生していない

負債規模が低いので個人で経営しているような規模の会社が多かったのでしょうか。
また全体に占める業態の割合が不明のため、単純には断言できませんが、「酒場・ビヤホール」と食べ物よりも「飲む」ことにウェイトを置いている会社の倒産件数が多いことから、食事などで差別化できていないと呼び込むのは難しかったのでは、ということは言えそうです。

ホテルなどアセットが大きい業界は建物を建ててしまっていたり、負債(残債)も多く残っていたりすると思われるので、業態転換というのはなかなか難しいと思いますが、店舗を借りている外食産業であればある意味やりやすいのかもしれません。

上記について深く知りたい方、あるいは資本業務提携先を探したいがどうしたらよいかわからないという法人様はお気軽に弊社までお問い合わせください。

 

なお私的整理などに関する事業再生(企業再生)については以下のコラムも参考にしてください。

企業再生スキームとM&A
債務超過企業と企業再生(準則型私的整理編)
【事業再生】特定調停スキームとは
【事業再生】事業再生ADR制度について
地域経済活性化支援機構(REVICとは)
事業承継時の「経営者保証に関するガイドライン」の特則
「経営者保証に関するガイドライン」とは

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